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1/13/2013

日本は本当に「危機」なのか・その2

昨日の「中学生でも分かる日本経済【危機】の実態」の続き。

この人をこのブログで持ち上げるのはいささかシャクに触るのだが、正論だから仕方がない。まず見て頂きたいのは、前回の総選挙の日本維新の会・石原慎太郎代表の政見放送である。

Youtube 日本維新の会政見放送
慎太郎、ここではポピュリズム狙いの右派・極右発言は一切なく、「財政危機」「空前の財政赤字」を喧伝して増税を国民に納得させようとする財務省のプロパガンダに、全面対決を挑んでいます。

まったく、なぜ維新のこういう主張を、政治マスコミがとり上げないのか?

当然記者クラブを通じた癒着があるにせよ、フリーランスですらこういった実は肝腎な話はまったく報じない。

民主党から離党して「国民の生活が第一」→「未来の党」と突っ走った小沢一郎は、今回の総選挙ではまるでやる気がないといった風情だったが、これは小沢が2009年総選挙の頃から指摘していた問題でもある。

慎太郎がさらに説得力があるのは、都政改革(といって、やったのは猪瀬直樹・当時の副知事なんだろうが)の経験を元に、国家財政がなぜか単式簿記、まるで一般家庭の家計のように扱われていることのおかしさから説明していることである。

石原第二期で、都政は企業等と同じ複式簿記に切り替えた。その結果都の保有する膨大な資産が明らかになり、 負債は資産で相殺され、無駄も明らかになった。

実は「国民一人あたり数百万」と喧伝され、増税圧力になっている国家の負債も、同じような話だったりする。税収と国債の一般予算だけで、収支を単式でやっているから、国家の負債額は膨大であるかのように見える。

単純収支が赤字なのは、もちろんいいことではないし、財政の健全化が必要なのはまちがいない。

しかしこれが、果たして未曾有の危機とみなすべきかどうかと言えば、話はまったく別だ。

日本国は不動産だけでなく、大量の米国債や、外貨準備などの膨大な資産や、特別会計の資金を、実は持っている。これを「埋蔵金」とセンセーショナルに言い出すから話がややこしくなるが、企業等の組織の財政では当たり前の話であり、その資産があるからそれが担保となって国債の信用度も落ちないのだ。

また「埋蔵金」を単式簿記の、家計のような発想で考えてしまうと、「埋蔵金は一回しか使えないだろう」という、民主党政権初期に浴びせられた子供じみた誤解の批判になるわけだが、これは資産なのだから、それを担保に資金を調達すれば、恒常的に活用できるのだ。

現に日本の国債への評価はほとんど落ちていない。

停滞や衰退を続ける先進国のなかでもっとも優良な国債の部類に入り、ギリシャどころか日本が大量保有する米国債とも比べ物にならない。

さらに円の評価もまったく落ちていない。円高円高というと悪いことのように報道されるが、これは円の通貨の安定した価値が高い、円建ての資産の価値が高いから、円高になっているのだ。

日本では元々が輸出超過型の経済だったので、自国の通貨高は輸出の価格競争が不利になるので敬遠されて来た。だがこれはもう、過去の話なのだ。

大企業はすでにその経営基盤を国際化しているし、メーカーの現地生産の工場なども多い。通貨の乱高下による減収は、実は帳簿上のことに過ぎず、「未曾有の円高でソニーが減収」とか報じられるのは、実は海外でのもうけが帳簿の上での円換算の結果下がるだけで、企業の経営本体を揺るがす程の危機ではない。

逆に言えば野田の解散宣言から安倍政権誕生まで、円がずっと下落を続けているのも、決して手放しに喜んでいいことでは、本来ないのだ。

円高で苦しいのはその企業に円ベースの取引で部品を納入している下請けであり、かといって本当にサポートが必要な(前項で書いた通り、中傷下請けなどの持つ部品製造技術の高さこそ、日本のこの上ない強みなのだ)中小企業への肩入れをする代わりに、自国通貨の信用度をわざわざ落とそうとするのが日本の政策だったりする。

よく考えて欲しい。輸出産業にとってはデメリットもあるとはいえ、自国の通貨の評価が高いのは、基本的にいいことなのだ。

そのぶん、日本の海外のものを買う力は増えるのだし、それだけでもメリットが大きい。福一事故後の原発の営業運転停止で、火力発電への大幅のシフトでも、なんとか持ちこたえられるのは、燃料の輸入コストが円高で下がるからだ。

まして過去数年の円高は、実は円が上がったのではない。

ドルの信頼性が暴落したのだ。

日本の財政赤字が実は帳簿のマジックであるのとは異なり、アメリカの財政赤字は本当に深刻であり、ブッシュ政権の始めた、アメリカに実はなんの実入りもない戦争と言う最大の無駄な公共事業の軍事費膨張で、アメリカの財政状況は本当に危険なのだ。

しかもオバマ政権は、その財政を健全化させる施策を、思うように出来ていない。社会のセーフティーネットを取り戻して極端過ぎる格差を是正し、アメリカの景気を健全化させることも、まったく成功していない。

ユーロが下がったのは、ギリシャ危機などを始めとする、国債金融資本市場によるユーロ崩しの結果であり(よく考えれば元々農業と観光しか産業がないようなギリシャ一国の財政危機だけでヨーロッパ経済全体が揺らぐなんて、かなり不条理な話だ)、そして今では回復基調なのは、中国と日本の国家資金・資産の活用で危機を回避出来たからだ。

ちなみに日本や中国がユーロを買い支えても、それで国家財政の損失になることはない。別の通貨になったってお金はお金だし、結果としてその通貨の価値が回復すれば、資産は増えるのだから。

財務省は延々と財政危機を喧伝し、さらに震災の復興予算のことも抱き合わせで、消費税の増税を押し通そうとしている。

5%の消費税は確かに国際水準から見て低い方だが、8%となると西欧諸国やアメリカとほとんど変わらない。ただ唯一違うのは、これらの国では生活に最低限必要な必需品、食糧関連は非課税か低税率である。

連立を組む公明党は、今自民党税調に、8%に増税を行うのなら、食料品などには異なった税率を当てはめるように要求している。

自民税調の返事は、「来年4月までに間に合わない」のだとか。これもふざけきった話だ。

実は「埋蔵金を処分」ではなく、国の資産を透明化するだけで、財政危機はまだそこまで深刻でないことは明らかになる。

むろん少子高齢化社会に向けて、社会保障関連の一般歳出は増えざるを得ないし、老朽化したインフラのメンテナンスなどでも支出は増えるだろうし、だから国家経営の合理化は必要だが、それは拙速にやっていいことではないし、拙速に出来ることでもないし、さらに言えば不況のときに間接増税をやって消費を冷え込ませる馬鹿なんて、経済政策として下策中の下策の自殺行為だ。

小沢一郎が常に言っているように「物事には順番がある」のだ。それにまたまだ国の蓄積した膨大な資産のおかげで、待ったなしの財政危機では実はない。

きちんと物事を順番通りに、筋を通してやって行く時間はまだ十分にあるのだ。

バブル崩壊後すでに20年を無駄にして来てしまってはいても、である。

ところが安倍新政権は、国家公務員の採用数減もすでに見直すと言っている。霞ヶ関の言いなりで、日本の財政を本当に健全化する気などまるでないらしい。

これではさすがに、いかに膨大な資産を持っていても、あと10年持たせるのはあまりに厳しいと思うのだが…。

それにしてもこんな子供だましの、よーく中学高校で学んだマルクス経済学やケインズ経済学の基本を思い出したら「おかしいじゃん」というような話に、日本国民はすっかり乗せられてしまっているのである。いったいマスコミはなにをやっているんだろう?

困ったもんだ。

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