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12/03/2008

円覚寺

ここ数日、ブログの写真が円覚寺なのは、秋の紅葉シーズンまっさかりなのと、東京フィルメックス映画祭のゲストということで外国人の友人が来ていたりするので、連れて行ってたりしたからです。

映画関係者で鎌倉の円覚寺というと、小津安二郎のお墓があることで有名で、他にも木下恵介監督、女優・田中絹代とその甥にあたる小林正樹監督のお墓もあるわけですが、僕は底意地が悪いので「小津の墓に連れてってやる」とかいいながら、その実小津の墓を見るだけで満足するかどうかを試しているわけでもあって…。つまり着くなり「小津の墓はどこだ?」で、小津の墓参りを済ましたらそれでおしまい、「東京に帰ろう」とかって、単なる映画おたくか、下手すりゃネクロフィリアの一種じゃん。ここに来て小津のお墓にしか興味を持たないって?

たとえばこの写真の舎利殿、国宝というお墨付きがあろうがなかろうがどうでもいいけど、一般公開は年に一度とかそれだけで近寄ったりなかに入ったりはできないにせよ、門のところから見るだけでも背後の山を借景した配置の妙といい、建物それ自体の屋根の組み合わせの美しさといい…。

もちろんシンプルな立方体に「無」とだけ書かれた小津安二郎の墓標というのも、それはそれでいかにも禅的な哲学性と小津ならではのミニマリズムな奥深さを讃えた名作(?)であります。


でもたとえばこの山門、創建当時のものではなく、江戸時代の再建ですが、それでもこの枯淡の美しさだって、ただごとじゃないでしょう?

しかも紅葉シーズンまっさかり、いちばん美しい季節ですからね。

円覚寺はいわば山全体をひっくるめて禅の修行の場、別に仏教徒じゃなくてもこの自然と調和したミニマリズムな美学には、なにか感じてもおかしくないはず。というか、とりあえずいかにも日本の伝統文化の奥ゆかしさですし、禅ってのは宗教というより瞑想に基づく哲学で、ここはそういう特別な空間の雰囲気がしっかりありますし、都心だとかにいると現代日本しかなかなか見られない外国人を案内するのには、とても都合がいいわけで。


これがどうやったら虎の頭に見えるのか分かりませんが、そう見えるのが禅の奥義なのかも知れん。いずれにせよ自然の岩を生かして池などを配置した庭作りの妙。いかにも日本的な自然との共存の美学って説明すれば感心して頂けること請け合い(笑)。

しかしまじめな話、三浦半島の自然環境がかろうじて維持されているのは、円覚寺などのお寺の持っている山が開発されていないのと、あとは米海軍の旧池子弾薬庫の森(現在は1/3が池子海軍住宅として開発、残りは境界を超えた日本側も含めて、逗子市、鎌倉市、横浜市にまたがる巨大な雑木林)があるからなんだそうです––というのは僕の最新作『フェンス』で扱ってる話でもあって、逗子はJR横須賀線だと北鎌倉のふた駅先に過ぎないので、ロケハンの帰りだとかにもよく寄り道しました。出演者の一人はこちらの境内にお住まいだし。

円覚寺建立を発願した北条時宗を祀った開基廟(仏日庵)は、数年前にNHKの大河ドラマでやったのを機会に修復されました。

         黄梅院の奥の小さな観音堂
つまり円覚寺のいちばん奥、ってことになります。いや違った。その奥の山も含めて円覚寺なんだっけ。

          方丈の庭から見える銀杏

          同じく方丈の庭の梅の木

            方丈の庭の百観音

まあ外国人に仏陀と菩薩の違いとか、見分け方とか、観世音菩薩とはなんぞやとか、説明するのは大変なんですが(汗)。最近はダライ・ラマが国際的有名人なので、「ダライ・ラマってのはこれの生まれ変わりなんだよ」と説明すればいいから少しは楽か。でも西洋人は「仏陀の生まれ変わり」だと思ってたりするので、「いやだから菩薩ってのは仏陀じゃなくて、悟りを開いて仏陀になる前段階が菩薩で、だから観音菩薩はまだ悟りには達してないから装飾品を身につけていて…」とか「まだ悟りに達してないからダライ・ラマとして転生できるんであって、悟って仏陀になったら輪廻転生から外れるから生まれ変わらないのであって」とか、日本語で説明しても、自分だってよく分かってないんだから難しい…。

ダライ・ラマ位の宗教的な定義付けって、「水面に映る月の影」みたいなものなんだそうですから、ここまで説明し始めるとすさまじく奥深いんですが素人の不信心者にはもうなにがなんだか…。

      ま、いいや。ここは密教じゃないんだし。

閑話休題。ここは関東有数の禅の道場なもので、本堂(写真上)(ちなみに震災で壊れたものを戦後再建したので、これが鉄筋コンクリというのは少々しらけますが)の向かって左側には…

座禅場である「選仏場」があります。中はこんな感じ↓。

本尊の阿弥陀如来の前でハンディカムを構えるのはサンパウロ映画祭のディレクターのレオン・カコフ氏。「Zen」というとなんとなく西洋でも言葉だけは知られているからいいんだけど、「『禅』とはどういう宗派なんだ」とか聞かれたら説明するのはもっと大変だなぁ。

庫裡の前でケータイで写真を撮ってるのはアモス・ギタイ『いつか分かるだろう』の脚本担当で、今年も来日しなかったアモスの代理で来たマリー=ジョゼ・サンセルム。僕のほぼ全作品で非公式の編集アドバイザーでもあります。ここに来るのは二回目か三回目。

今年はマリー=ジョゼがレオンに薦めたものだから、一週のうちに二回も行くハメになってしまった。まあいいんだけど。今年は天気もいいし、夏はゲリラ豪雨でも秋に入ってからは台風とかもなかったので葉の色づきも最高でしたから。

なんといったって紅葉がまっさかりであります。

というわけで観光まっさかり。なにせ駅の目の前でもありますし。ちなみに小津の名作『晩春』の冒頭も、このすぐそばの北鎌倉駅のホームです。

<さらに円覚寺の写真>

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