鳴り物入りのプーチン大統領訪日と日露首脳会談は、事前の予想では思いも寄らなかった意外な展開が起こっている。意外過ぎてその意味、プーチンがなにをやってのけたのかが、日本側では政府だけでなくマスコミも、よく把握できていないようだ。
どうも日本では、ロシアならロシアで専門家、対米外交ならアメリカの専門家、中東なら中東の専門家が出て来る「国別の専門家の縦割り」議論になりがちで、国際情勢のなかで日本はなにをやっているのか、なにをすべきなのかをちゃんと把握することが苦手のようだ。
今回も、ほぼ同時に並行してロシアが深く関与しているシリア問題(というか、プーチンのロシアがアサド政権を事実上傀儡として虐殺と言ってもいい内戦鎮圧を主導している)のことも、その前々日には沖縄で米海兵隊のオスプレイ輸送機の墜落事故のことも、結びつけて考えることができないらしい。
というか、オスプレイ墜落もただ沖縄の問題かのようにしか語られず、これが日米関係の重大な危機であり、米軍と沖縄ではなく日本と米国政府の問題であることすら無視されているのはさすがに異常なわけだが。
だが今回の日露首脳会談の意外な展開は、並行して世界でなにが起こっているのかともちろん無関係ではないし。
結果からみればこのオスプレイ墜落をめぐる日米関係の大問題が、プーチン大統領の言動に大きく関わっているし、プーチンがこの会談で急遽目的にしたのは、日露関係のことではなく、露骨なまでの対アメリカ政府への牽制に、日本を徹底的に利用することだった。
まず長門市での首脳会談に至るてんてこまいと、安倍首相が「膝を突き合わせた本音の会談」の顛末を見て改めて印象に残ったことだが、ウラディーミル・プーチンは思っていた以上に恐るべき政治家だ。
日本の安倍首相が熱望した山口県長門市での首脳会談の当日、プーチンの到着が2時間以上遅れるという報せがあっただけでも、日本中が色めき立った。
首相官邸や外務省は慌ててメディア各社、とくにテレビ報道に、プーチンがこれまでも首脳会談では遅刻の常習犯だとの情報を流し、この程度の番狂わせは官邸の想定内だとのブリーフィングも重ねた。
しかしプーチンが来日直前に日本テレビと読売新聞を呼んだインタビューでは、安倍政権が期待していた北方領土問題の解決については「日露間には領土問題なんてない、日本は(勝手に)そう思い込んでいるらしいが」と断言、日本側の不誠実な二枚舌を突き「信頼できる雰囲気」を作ることが重要、と脅しまがいのことまで言い、日本がウクライナ紛争とクリミア併合を受けた対ロ経済制裁の参加国であることまで挙げて「経済制裁をしておきながら経済協力とはなにごとだ」と非難までしてみせていた。
会談開始の直前までの状況を見れば、安倍政権が鳴り物入りで仕組んだ「総理の故郷へのプーチン大統領訪問」は日本側の大惨敗、首相が恥をかくだけならともかく、北方領土問題を安倍が望んだのとは逆の意味で「私の世代で確定」させることになりかねないことさえ、十分に予想された。
詳しくは先の本ブログのエントリーをご覧下さい
12/14/2016 北方領土は帰って来るのか?
そしていきなり、2時間以上もの遅れという一方的な告知だ。安倍官邸ではドタキャンの可能性も含めて、さぞ戦々恐々だったことだろう。
そうでなくとも「自分の地元に招きたい」という安倍のラブコールにもプーチン側は「なぜ東京でやらないのか」と難色も示し、一応は折れたものの警備の事前調査団をこれみよがしに派遣し、日本側が長門市の旅館「大谷山荘」の離れの貴賓室を準備していたのが「警備上の問題がある」と本館への宿泊に無理矢理替えさてまでいる。
土壇場で日本側の警備の不備をあげつらって山口行きを拒否し(そうでなくても「仕事にならない」という不満が以前に日本側に伝えられている。プーチンの最大の来日目的は、日本企業への投資呼びかけトップセールスだったので、東京を希望していた)、警備が万全な東京のロシア大使館に泊まるという展開も想定された。
むろん通常の外交儀礼なら失礼千万になる話だ。
だが今回プーチンが相手にしているのは危機管理コンプレックスの安倍首相だ。元KGBエージェントのプーチン、つまりテロ対策など危機管理のプロにそう言われては、深く傷つくというか、ますます下手に出て言いなりになってしまう。もちろん離れの貴賓室を拒否したのだって本当に警備の問題があったり不安になったはずもなく、安倍のコンプレックスを突いてプレッシャーをかけるマウンティングに決まっている。
日本側が沿道に歓迎の長門市民まで手配しているのに、到着はわざととしか思えないやり方で日没後にずれ込んだ。
6時過ぎにやっと「大谷山荘」に到着、首脳会談が始まっても、和やかな雰囲気の挨拶の交換をメディアに取材させようとする日本側に、プーチンは相当に底意地の悪い皮肉を二発、ぶっきらぼうながらも褒め言葉を並べた挨拶に、しっかり組み込んでいた。
まず両首脳の「信頼関係」を褒めるように装い度々会談をして来たことを述べながら「こないだペルーで会ったばかり」(そのペルーでの首脳会談で、安倍はほんとんどパニックのような落ち込みようだった)、安倍が当地の温泉に触れて「疲れが取れる」と言ったことへの返しとして「今日の会談で疲れるつもりはないから」である。
来日前の発言からしても、その前の「こないだペルーで会ったばかり」の会談でのけんもほろろの態度からしても、日本側がまったく楽観視できない雰囲気を作り、大遅刻でどっちがボスかを見せつけるかのような高飛車な雰囲気を演出して、安倍首相がなんとか国民相手にメンツを保つこと、大惨敗になりそうな首脳会談の結果を国民に向かってどう取り繕うのかに必死になっているであろうところだった。
ところがプーチンはそんな安倍の焦りや国内向け人気取りの都合を全部見透かした上で、いきなり予想外の変化球で、うまく持ち上げて喜ばせてさえみせたのだ。
両首脳が個別会談に入ると、その前の90分に及んだ公式会談に同席していたラブロフ・ロシア外相が記者団の前に姿を現し、プーチンからのいきなりの提案を、安倍首相が歓迎したことを伝えた。
プーチンは日露の2+2定期会合、つまり防衛担当相と外務大臣が定期的に会う安全保障会議の再開を呼びかけたというのだ。
日露間のこの安全保障連絡会議は、ウクライナ・クリミア問題を受けたG7による対ロシア制裁と、それまでロシアを含めたG8だったのが冷戦前と同じG7に戻ったのに合わせて、中断されていたものだ。
この日露の2+2の再開を発表したことこそが、今回の首脳会談で出た最も重要な提案であり、合意事項だ。経済協力も、日本側が交渉しているつもりで来た領土問題も、もはやそんなに重要ではない。
通常の外交常識では最重要の議題だった平和条約締結交渉を進めることですら、日本がそれが領土問題を意味すると思い込んで来たのとは、まったく異なった意味を持つが、それにしても領土でも主権でも経済協力でもなく、いきなりこんな安全保障の話が出て来るとは、日本側にはまったく想定外だったことだろう。
しかも2+2の再開、つまり安全保障分野での「戦争と危機管理のプロ」に見える元KGBのプーチンとのと連携は、「危機管理コンプレックス」で「戦争ができる普通の国」への憧れに凝り固まった安倍にとっては、無条件に大喜びして歓迎してしまう話だ。
案の定、安倍氏はすっかりごきげんで、会談後は記者団に囲まれて、この2+2再開と、日本国民相手ではなによりも重要だった「領土問題」での成果になると思い込んだ「北方四島での特別の制度下での日露共同の経済活動」での合意を、大喜びで発表した。
後者の「特別の制度に基づく」がなにを意味し得るのか分からずに嬉々として発表してしまったのを見ると、安倍氏はよほどプーチンの愛想のいい態度に安堵して、2+2会合の再開に舞い上がってしまっているのだろう。
テレビでさっそくこの報道が流れた際には、字幕で安倍が実は思いっきり手玉にとられたことが皮肉にも示されてしまった(またこの画像をツイッターで流したのが、安倍の側近のひとり山本一太参議院議員である)。
この字幕で報じられた通りで、ロシア側の大統領補佐官はさっそく、この「特別な制度」が言うまでもなくロシア法に基づくものであることを確認している。つまり、北方領土の主権は譲らないどころか、日本にロシアの施政権を認めすらさせてしまったことになる。
安倍ヨイショ系の “識者” がメディアで必死に誤摩化しているが、「特別な制度」がロシア側の提案、たとえばロシア政府の定める特別区的な扱いなら、それはどう逆立ちしようがロシアの主権を前提とした議論にしかならない。
むろん「特別な制度の」といういかにも玉虫色の言い草は、双方でいかようにも解釈できる。だから安倍は日本の報道機関にちょっと圧力をかけるだけで、さしあたりのメンツは保てるだろう。しかし北方領土問題は日本側の望む解決から、明らかに後退している。
もっとも、そんな方向での進展はそもそも絶望的だったわけだが。
だがこの玉虫色の言い方で済ませたということは、まだかなりの手かげんをプーチンはしてくれてもいる。
正式な発表は翌日東京での共同会見で行い、文書も出すという話なので、日本側の事務方が慌てて修整を要求できるし、「特別な制度」の詳細を今後の交渉で詰める過程で、この失態は挽回とまでは行かずとも、白紙に戻せなくもない。
今回の首脳会談で遥かに重要なのは、2+2会合の再開に安倍が喜んだことの持つ、とんでもないメッセージ性だ。
さらにロシア側では、平和条約の締結で日露が合意し、この締結に向けた作業が今後加速することも、強調するように発表してすでにさかんに報道させている。折しもプーチンの支援を受けたアサド政権が反体制派が守るアレッポの完全制圧を進め、虐殺行為も懸念されている。ロシア側の報道では、このシリア内戦とウクライナ情勢についても、プーチンと安倍の見解が一致したとまで言われてしまっている。
平和条約も合わせて日露安全保障連絡会議を再開というのでは、プーチンが要求してきた「信頼できる雰囲気」というのは単に「日露友好の確認」という建前論以上の意味を持つ。一方でこの議題に関しては、日ソ共同宣言によればこの締結に伴い歯舞群島と色丹島が返還されるという約束について論じられた形跡がない。
肝心なのは、プーチンが露骨に日米関係にくさびを打ち込んで来ていること、安倍首相がそれに乗ってしまったことだ。
こんな展開はまったく予想していなかったが、プーチンは心底恐ろしく、大胆にして狡猾な政治家だと改めて思い知らされた。
今回3時間近く遅刻したあいだに、日本の最新ニュースを知って思いついたことなのかも知れないが、その政治的文脈を考えれば、この首脳会談でプーチンが本当に勝負している相手は日本でも、まして安倍政権でもない。アメリカ相手の揺さぶり、露骨な脅しなのだ。
米大統領選挙の期間中にドナルド・トランプがプーチンを褒める言葉を連発していたことから、プーチンが今後の米ロ関係を楽観視しているかのような報道が日本では多いが、これはあまりにもの短絡だ。
そもそもトランプはオバマやクリントンらアメリカのリベラル系政治家へのあてつけで支持者を盛り上げるための引き合いにプーチンを出しただけだし、オバマ政権の厳しい対ロ外交よりは好転するにしても、トランプの外交方針は未知数だ。
ウラディーミル・プーチンはこんな程度のあやふやな話に簡単に乗るような迂闊な政治家ではない。
折しも日本では恐るべき皮肉な偶然で、プーチンがアメリカ揺さぶりに利用できる事態が起こっているのだ。
その絶妙なタイミングでプーチンが狙ったのは、日本からの経済協力でも、この際北方領土をロシア領として事実上確定することでもない。遥かにスケールが大きな、G7つまり旧西側先進諸国の連携への強烈な揺さぶりと、アメリカへの露骨な牽制に、この日露首脳会談の目的自体がいつのまにか変わっていた。
プーチン来日の前々日夜に、沖縄で普天間基地所属の米海兵隊のオスプレイ輸送機が海上に墜落している。日本政府は米軍の通告をあえて鵜呑みにして「不時着」と発表しているが、翌朝には明らかになった機体の大破した状態を見れば、どうみても墜落だ。
ただでさえ日本側、とくに沖縄の不安と反発が高まるなか、なんと沖縄米軍の最高司令官にあたるニコルソン四軍調整官が、事故を抗議しに来た沖縄県副知事に対しても、そして記者会見でも、日本側からみればとんでもない発言をやらかしているのだ。
この事態は本来なら、日本の対米感情を悪化させ、日米関係を危機に陥れる重大な事態だ。プーチンはこのタイミングを見事に利用して見せたのである。
ニコルソン調整官が事故はオスプレイの機体自体の問題ではない、と繰り返ただけでも反発が大きい。あまりに事故が多いことの懸念から、オスプレイ配備に対する抵抗は、普天間基地の辺野古移設と高江のヘリパッド建設への反対運動の大きな要素になっている上に、この墜落事故と同日に、別のオスプレイが普天間基地に「不時着」(胴体着陸)していたことまで明らかになっている。
しかもニコルソン調整官は、墜落事故の直接原因が空中給油訓練中のパイロットの操縦ミスなのにも関わらず、市街地を避けて海上に「不時着」させたことでそのパイロットを誉め称え、副知事に「沖縄県民は感謝すべきだ」とまで言い放っているのだ。
これが普通の国なら、なにしろ沖縄県民を代表する立場の公職にある副知事に向かって、たかが他国の軍司令官がひどい侮辱をやらかしたことになる。
沖縄県が激怒しているだけでは済まず、政府でも当然問題にして、米大使館に抗議文を送付するか、大使を呼びつけて謝罪を要求するような、巨大な外交問題になるのが「普通の外交」だ。
実際にはもちろん(国際標準なら恐ろしく奇妙なことだが)、日本政府は事故に抗議もせず、司令官の日本国民を侮辱する暴言に至っては防衛副大臣らがむしろ理解を示し同調までしてしまっているが、アメリカ政府、とくに国務省は、「なんということをしてくれたのだ」と焦っているし、日本側の反応に戦々恐々としている。
日本政府がとりあえず対米従属を崩していないことまでは安心できても、国民の反発は必至だし、普通の政府なら表向きは冷静でも、実は激怒していておかしくない事態なのだ。
そこへアメリカと現状敵対関係にある(対ロシアの経済制裁を主導しているのはアメリカのオバマ政権だ)ロシアの大統領と日本の首相が会談し、日本が明らかに安全保障においてロシアに接近することを意味する合意が即座に決まったのである。
アメリカ国務省はすでにこのニュースに激怒し、また戦々恐々ともしていることだろう。
もちろん安倍の日本政府はこうした「普通の国」なら当然やるべきことでもなにもやる気はないのだろうが、代わりにプーチンがやってくれたことになるのだ。
アメリカから見れば米軍機の事故と米軍司令官のふるまいに、にわかにアメリカに反発を抱いた日本政府が、安全保障政策でアメリカに距離を置き、アメリカと現在対立関係にあるロシアに接近したことにしかならないのが、今夜の日露首脳会談の結果だ。
日露がこのプーチン来日で大規模な経済協力でも合意に達するのであれば、G7で連携してきた経済制裁の体制も事実上崩壊するし、訪日前のインタビューでプーチンはあえて、経済制裁があっては日本と信頼関係が築けない、と強調もしている。つまり山口と東京での合意は、アメリカ相手に「日本は対ロ経済制裁を事実上解除した」とのメッセージにもなる。
プーチン側では、ロシアのメディアに、ウクライナとシリア情勢について日露両首脳の見解が一致した、とまで報道させているらしい。「日本は外交安全保障でアメリカと距離を置き、これからはロシアに接近する」というメッセージが見事に演出されてしまったのだ。少なくともシリア内戦に関しては、安倍首相にはここで断固としてプーチンに反論して軌道修正してもらわねばならない。
とはいえ個人的には、これも大枠では必ずしも悪くはない結果だ、とは思わなくもない。
これまでも日本の外交の最大の問題だった対米従属の転換点にもなるし、なによりも白人至上主義者レイシスト層の熱烈な支持を受ける超保守主義の独善的孤立主義者トランプが次期大統領に決まり、その国防長官に「アメリカに逆らう奴らを殺すのは楽しい」と公言する「狂犬」が指名されたようなアメリカと、今後も安全保障政策での連携を深め、日本の防衛をアメリカに依存する、アメリカ軍に我が国の国土内で好き勝手をやることを許すなどというのは、日本に取って何重もの意味であまりに危険だし、あり得ないことだ。
プーチンのロシアが経済制裁を受けるのは、国際社会の信義としてはしかるべきことであり、ウクライナ内戦だけでなく、今ではなによりもシリア内戦におけるロシアの態度からすれば、日本は同調すべきではないのはもちろんだ。
とはいえ、それでもプーチンが凋落の激しく独善的な閉塞に陥りつつあるヨーロッパとも、アメリカとも距離を置き、ロシアの将来についてアジアとの連携に外交の軸足をシフトしていること自体は正しい判断だし、日本にとっても対ロシア、対中国の関係を改善して、この三国が東アジアにおける安全保障や秩序の新たな形成のイニシアティブを握ることは悪い話ではない。
しかもロシアの豊富な天然資源(石炭、石油、天然ガス)は日本にとって必要なものだし、ロシア東部(シベリア、サハリン州)は日本経済、日本企業にとっては有望なフロンティア、見返りの大きい投資先である。
ちなみに、だからプーチンが日本と経済協力を議論したいのは「援助」を求めているのではない。ビジネス上のパートナーシップであり、経済制裁の解除だ。
安全保障的でトランプのアメリカに依存するなんて危な過ぎる以上、ロシアとの連携もひとつの選択肢だし、中ソ関係も良好である現状、そこに日本の今後の安全の手段を見出すのも現実的な選択だし、トランプのアメリカを牽制することも日本外交にとっては有益なではある。
とはいえ、心配なのは安倍晋三首相が、プーチンがなにを持ちかけて来たのか、それが日本の今後の外交戦略や安全保障政策にとってなにを意味するのかを、まったく考えていないことだ。
安倍首相はそのプーチンがウクライナ問題はともかく、シリアでアサド政権を傀儡にして虐殺にも等しい蛮行を続行していることに、まったく無頓着でもある。
折しも、今月末には安倍はハワイの真珠湾を訪問し、クリスマス休暇中のオバマとの最後の首脳会談に望むはずだ。
まともな外交能力のある日本の総理なら、オスプレイ墜落と在沖縄米軍四軍調整官の暴言、そして今回のプーチン来日は、この日米首脳会談でアメリカ側にある種の脅しをかける有効な外交カードになるし、トランプ政権に移行したあとも防衛安全保障で過剰な対米依存に陥るリスクも減らせる。
だがそうは言っても、プーチンが安倍をうまくのせた演出は劇薬すぎて、アメリカは当然、自分の立場が極めて拙い(オスプレイの事故も、四軍調整官のあまりに非礼な言動も、責められれば反論は難しい)からこそ、まずは逆に強気な態度で出て来るだろう。
そのときに、安倍首相はどう動くつもりなのだろうか?
慌てふためいて今度は対米ゴマ摺りに専念したところで、それではかえってアメリカの不信感を増すだけで、日本の立場は悪化する。
つまりは安倍はプーチンが西側に揺さぶりをかけるのに利用されたおもちゃどまりになって、日本は国際的に孤立してしまう。
うまく使えば対米交渉で有利な条件を引き出す有効なカードでもあり、またこれ以上はアメリカに依存できない日本にとって、非常に有益な外交政策の転換点にもなるのだが…
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