最新作『無人地帯 No Man's Zone』(2012)
〜福島第一原発事故、失われゆく風景、そこに生きて来た人々〜
第62回ベルリン国際映画祭フォーラム部門正式出品作品

12/19/2009

慶應大学で講演と『フェンス』上映




慶應大学(日吉)で、横浜の寿町に拠点をもうけてドキュメンタリーを撮る実習をやるそうで、その準備のためのワークショップを、というわけで12月22日(火)に当方の最新作『フェンス 第一部 失楽園 第二部 断絶された地層』(2008)を特別に先行上映し、「ドキュメンタリーの作法」について学生さん向けの講演をやることになりました。

10月の山形国際ドキュメンタリー映画祭での国内初上映以来、首都圏では初の上映になります。学内でのイベントですが、別に非公開でもなく、この機会によろしかったらご覧下さい。





日吉映像フォーラム
第一回ドキュメンタリー・ワークショップ
『フェンス』上映と藤原敏史監督に訊く


本ワークショップでは、ドキュメンタリー作品の製作を目標として、ドキュメンタリーというアクチュアルなメディアについて理論的および実践的に学習していきます。初回は、気鋭の若手監督藤原敏史氏の『フェンス』(2009年山形国際ドキュメンタリー映画祭出品作品)を上映し、藤原敏史監督と映画批評家の杉原賢彦氏をゲストに迎え、逗子市の池子米軍基地問題を扱った上映作品について徹底的に議論します。

上映作品
『フェンス 第一部 失楽園 第二部 断絶された地層』  
  製作 安岡フィルムズ 羅針盤映画 製作協力 逗子市
  プロデューサー 安岡卓治 藤原敏史
  撮影 大津幸四郎
  音響監督 久保田幸雄
  監督/編集 藤原敏史
2008年 日本 第一部83分、第二部84分 デジタル(HD) カラー (DVD上映)

米海軍池子家族住宅を取り囲むフェンスそのものを執拗に撮り続けていくことによって、その存在の物質性を強く印象づけると同時に、そこに生きる人々の記憶の諸相を丁寧に記録することによって、フェンスの横断する森の生命力に比するものを人々の語りのなかから紡ぎだしていく、詩的なドキュメンタリー作品。 
藤原監督はとても自然にインタビュアーとして画面に映っていますし、何より特徴的だと思ったのは、何の気負いもない少し不器用なくらいのナレーションが入っていることなんです。そうした作家の等身大の身体性みたいなものによって、世界と真摯に向き合っていく。それがおばあさんたちの本当に魅力的なインタビューを際立たせていているように感じました。3時間あるのに長さを感じさせない、というよりも、時間を追うごとに彼女たちの語りが、藤原さんとの関係性においてたしかに輝きを増していくんですね。不器用さとないまぜの作家の真摯さみたいなものを、大津幸四郎さんの構えた画面のそこかしこから感じられるんです。いくつもの質の異なる時間軸が交差する中で、ひとつの場所についての物語が思考され語られていく。硬派なテーマなのに、観客を選ばない作りの映画になっています。」  萩野亮、「ドキュメンタリー映画の最前線メールマガジンneoneo」2009.12.1号 




監督ステートメント
作った人間としては、これを在日米軍をめぐる政治的な映画としては見てもらいたくない。この二部作は失われてもはや見ることのできない“ニッポンのふるさと”をめぐる、記憶することと、見られないことについてのものであり、僕自身が池子と直接関係のない人間であるにも関わらず、自分の極めてパーソナルな思いが、我々が見せるものと見せないもののすべてに、滲み出ていればいいと思う。

藤原敏史、2009年8月


ゲスト
藤原敏史(映画作家)
杉原賢彦(映画批評家、本学講師)

司会
佐藤元状(法学部)

日時:12月22日(火) 16時30分開場/16時45分開演(終了は20時を予定しています。)
場所:慶應義塾大学日吉キャンパス 独立館D404教室
主催:慶應義塾大学教養研究センター

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