最新作『無人地帯 No Man's Zone』(2012)
〜福島第一原発事故、失われゆく風景、そこに生きて来た人々〜
第62回ベルリン国際映画祭フォーラム部門正式出品作品
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11/04/2007

三日坊主…

…ともよく言われるのだが、生まれてこのかた日記なるものが続いたためしがなく、案の定三日どころか二日でもう中断していたこの日記である。だって毎日毎日、朝から晩まで新作のドキュメンタリー『フェンス』の編集にかかりきりで、書くことがないんだもの。

そこで唐突に小沢一郎・民主党代表が突然の辞職表明である。しかしどうにもよく分からないのが、「本当に辞めるの?」というところである。だって小沢はあくまで、辞表を鳩山幹事長に出して、まだ党預かりの段階であるし、そのことをかなり丁寧に会見でも言っている、その一方で辞任を決意するに至った経緯と称して、福田首相が安全保障について小沢の国連主導主義に同意しただの、民主党には未だ政権党とみなされるには力量不足のところがあるとか、自民党・福田政権にも、民主党の小沢以外の執行部にも、かなり激しく釘をさしているのだから。

大連立構想を役員会で拒否されたから辞めた、ということになっているけれど、本気で小沢が大連立を考えていたとはとても思えない。だって二大政党制と政権交代が彼の悲願のはずなのだから、そんな大政翼賛会みたいなこと本気で考えてはいないでしょう。それにそんなことやったら、国民に「裏切ったな」と思われて、選挙で負けるに決まってるし、それ以前に彼の目的にとってまったく意味ないじゃない。

この点でも小沢の会見の言葉をよく聞いてみると、「アレ?」というところが他にもある。民主党の役員会に拒絶されたのは連立それ自体だけでなく、そのための政策協議だというのだ。政策協議だけでもやって、その上で「おたくの政策には乗れません」とか言えばいいわけで−−というか、小沢民主党だったら実をいえば政策論争で今のダメダメな自民党を論破するくらいの能力があるように見える。政策協議で論破して、「つきあってられん」とぶっ壊してしまえば、そのぶん民主党の政策担当能力のアピール度はあがる。

ただ問題は、民主党の現リーダー層には、そのテの論客がいないのよねぇ。テレビによく出る人々のなかにか、かなりきちんと政治を議論できる人もいて、論客気取りのただのヒステリー女の元舛添夫人とか、ヒステリックな北朝鮮批判とバカ話しかできない安倍晋三の元家庭教師とか、チョイ悪おやじ気取りの吉田茂の孫とか、ヘ理屈と軍事マニアの中学生レベルの机上の空論を振り回すだけで国際法のイロハも知らない防衛大臣その実ただの軍事ヲタとか、まともに話ができる人がぜんぜんいない自民党よりはたぶんにマシなのだが。

ところがとくにトロイカ体制のあとの二人、菅直人と鳩山由紀夫は政策議論ができない人に成り下がっている。ニュースで国会でのぶらさがり会見とか民主党の公式の会見からの映像として出て来る彼らを見ると、確かに「政権を任せて大丈夫なの」とは思えて来るかもしれない。ワイドショーや政治バラエティ(「TVタックル」とか「大田光のわたしが総理大臣になったら」とか)や「朝生」だと、たいてい民主党の方がまだ筋が通っているのだが。さて小沢本人はというと、先日発表してかなりの爆弾効果があった安全保障についての『世界』に出た論文を読んでも、実はかなり発想力があり、かつ理論派で説得力のある、筋の通った議論を展開できる人物であるようだ。というか田中派のプリンスというイメージとは裏腹に、根はかなり頑固な原理原則主義者なところもあるようですね。

理論派でその実自分の理想を貫きたいタイプ、かつおぼっちゃんは、キレるときはキレ易いのかもしれない。つまり岸の孫の安倍に続いて小沢もキレちゃった、というのが世間一般の了解のようなのだが、どうもそうとも思えないところもある。むしろこれって、内輪にむけては小沢豪腕一流の党内締め付け策で、政権政党として脱皮するための荒療治、かつかえって世論を焚き付けるための手段なのかも知れませんよ。なにせなによりも、自民党の党首に延々と続いて来た対米従属安全保障政策を転換することを言わせちゃって、それをおおやけにバラしちゃったんだから。

これはたぶんハズレる僕の勝手な予想だが、小沢は実は辞めないんじゃないの? むしろ慰留されればその条件として、鳩山と菅あたりを役職から外し、もっと政治家のお仕事ができる若手を役員に起用するんじゃないか。そんなことやったら民主党の資金源である鳩山家をはじめ、もともとサマザマな勢力の寄せ集めである民主党がバラバラになるからできるわけがない、と永田町の専門家はおっしゃるのでしょうが、いやだからこそ、これだけの大騒ぎを仕掛けたんじゃないかと、僕自身は勝手に思っている。

ちなみに小沢が福田に同意させた内容それ自体は、僕個人の賛否はともかく、憲法解釈は変えても、本来世界でもっとも大義名分を振り回せるありがたい日本国憲法にまったく反していないし、しかも現在の国際政治をリアリズムで考える限りにおいてはもっとも現実的な安全保障政策だろう。しかも「国連こそが世界の平和を守る主体であるべき」と憲法九条と前文をひっぱって主張すれば、日本の国際的地位、外交における発言力を向上させる方法論にもなる。国際政治の今の流れは、それぞれの国がそれぞれなりにアメリカという化け物にいかにつきあい、いかにアメリカという化け物の化け物的行動を抑制するかを模索しながら、なかなかそれができないでいるのが現実なのだ。

なんで「国際政治」の専門家だとかを自称するひとが未だに気がつかないんだろうかよく分かりません。今みたいに暴走しているアメリカに従属していると、世界から孤立しますよ、この国は。それどころか来年の大統領選挙でほぼ確実にアメリカの政権からさえ孤立する可能性大。どう考えても共和党が勝つわけがなく、イラク戦争も「テロとの戦争」もチャラになるのは目に見えてるのだから。ちなみにこういう切り替えができる点では、二大政党制はたしかに便利なのかも知れない。

(注:例によって写真は本文とは関係ありません)

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