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11/13/2007

日本語が理解できないらしい日本政府

一日に日記を二つも書くのはイヤだし、そんなヒマも本当はないのだが、どうしても一言。新テロ対策法の衆院本会議採決について自民党が「民主党が対案を出さない」と喚いている。

こんな意味不明なことを言ってる自民党も自民党だが、それをただ垂れ流すマスコミもマスコミだ。だってこの理屈、日本語になってない。民主党は自衛隊が米軍などに対して給油活動を行うこと自体を違憲とみなし、反対しているのだ。

11月1日までやっていた給油活動を続けるための対案なんて、出す必要がない。こんな当たり前の理屈すら分からないほど、政府や自民党の皆様は脳みそが軟化しているのだろうか?

(写真は前項に続き、イギリス、シェフィールドの市街写真)

スポークスマン、つまり言葉が仕事の官房長官である町村が「我々は議論をしたい」とか言っていたが、議論から逃げているのは自民党の方だ。

民主党の主張は大まかにいえば、日本が協力しているアフガン戦争は国際法上、アメリカの自衛戦争に同盟国である各国が集団的自衛権の行使として参加している戦争であり、憲法には「国際戦争の解決手段としての戦争」を日本国はやってはならない、と書いてあり、政府の憲法解釈は従来、集団的自衛権の行使を行わないとしている以上、まず違憲であるというのがひとつ。

給油はアメリカの自衛戦争への協力であり、テクニカルに考えてどうみても自衛戦争に同盟国として参加していることにしかなり得ない。テロ特措法は少なくとも最初から政府自身の憲法解釈に違反し、従って政府の立場からみて憲法違反なのだ。兵站の維持と補給活動が作戦行動の一部であるのは戦争の常識であり、給油だから、戦闘には直接参加してないからなんて非常識な区別は、平和ボケな日本の政界でしか通じませんよ。法治国家の政権与党だというのに、自民党はそもそもこの法案でやろうとしていることが違憲ではないのかという議論に、一切答えていない。

なんでこういう姑息なごまかしをやるのだろう? 彼らは良心がないのだろうか? それとも知能の問題なのか? 政府自民党はアホなのか、それとも嘘つきなのか? 

第二に、民主党はすでに参議院でイラクへの自衛隊派遣をやめる法案を提出すると宣言している。つまり、アメリカの戦争に加担するという従来の外交方針に反対しているわけで、その文脈ではアメリカの自衛戦争であるアフガン戦争にも協力しない、という外交方針は明らかだ。だからこの点からも、民主党が不必要どころか害悪だと主張している給油を継続するための法案の「対案」なんて、考える必要がそもそもない。

しかも国際貢献うんぬん、国際社会の一員として世界の安全うんぬんを言うのなら、辞意表明騒動のひきがねになった福田首相との密会で、小沢のパブリックな発言によれば福田が彼の主張する国連中心主義の安全保障政策に合意したはずなのだ。小沢一郎民主党代表は日本の従来の外交方針および安全保障政策についてのラディカルな対案を堂々と主張しているわけで、その小沢の主張する新しい外交政策、つまり国連中心の国際安全保障体制の構築に積極的に参加するという方針のなかでは、現在のアフガン戦争のためにインド洋でアメリカとその同盟国に給油するという活動自体があり得ない。対案もへったくれもないのだ。

アフガンの現状に対して世界平和と人道の立場から日本が貢献する対案なら、小沢一郎本人はとっくの昔に出してますよ。

政府自民党には鶏並みの記憶力しかないのかも知れないが、国民はそこまで健忘症じゃありません。あまり人をバカにしないで頂きたい。アメリカの戦争に協力するのでなく、国連中心主義でISAFへの参加を検討する。

ただし戦闘部隊として参加するよりは医療などの人道支援の方が日本は役割を果たせるのではないかなどなど、ぜんぶ『世界』の論文に書いてありましたよん。あの論文にもまったくまともな反論をしていない政府自民党が「議論をしたい」って、議論はすでに小沢がボールを投げてます。

ちなみにアフガン情勢に対する国際貢献ならばISAF参加を検討すべきという小沢の主張に自民党がやった反論にもなってない反論はたったひとつ、「そんな危ないところに自衛隊を送って、殺されたりしたら危ないじゃないか」(爆笑)。

そんな自民党の議員のなかに小沢の憲法前文と九条を順守する国連中心主義を「時代遅れの一国平和主義」と批判したバカがいるのだから、ホントに日本語が分からないらしい。

少なくとも小沢一郎は公に福田が彼の主張に同意したことを明言しているし、福田はそのことについて明確に否定もしていない。少々子どもじみた喧嘩になりかねない話とはいえ、これはもう「賛成した」のか「賛成しなかったのか」をまず明確にするのが現政権の責任だし、「賛成しなかった」のなら、あらためて小沢が提案していることの是非を国会で議論すべきだろう。

で、今日のもう一つの日記ですでに書いたことにも通じるのだけど、一連のアメリカの戦争に対して日本がどういう態度をとるべきかについては、リアリズムで考えれば考えるほど、小沢の言っていること、民主党のとっている態度の方が比較の問題としてはずっと日本の国益になる。完全にレームダック化しているブッシュ二世のご機嫌うかがいのために税金を注ぎ込んで給油を続ける必要なんて、現実にはどこにもないのだ。今のところ次回の大統領選挙はヒラリー・クリントンが最有力候補だが、万が一共和党が逆転するにしても、「テロとの戦争」やイラク戦争が今の流れのまま続くことは、アメリカ政界の流れのなかでまずあり得ない。少しは現実をちゃんと分析して日本の国益と外交上のメリットを考えた行動ができないんでしょうか、この国の政治家さんたちは?

むしろアメリカの戦争に加担して「文明国対イスラム」というビン・ラディンらがねつ造しようと狙ったとおりの構図に日本が参加すること自体が、日本をアルカイダなどのテロリズムの対象になってかえって危険を増大させる、しかもそのリスクに対する現実的な対処策はまるでないんだから、まともな安全保障政策であればあり得ない考え方なのだ。

テロが世界の安全にとって脅威だというのなら、すみませんけどテロリズムの防止は国家の戦争行為でなく基本的に警察権の行使だ。国際法上、戦争とは国家どうしの争いであり、正当性をもってその国家の利益を代表するとされる政府どうしの争いである(で、そこに参加することを、そもそも我が国の憲法は禁じている)。

テロリズムを押さえたいのなら、まずテロリズムが単に犯罪であり、警察権の行使として行うことだと明言した方がいい。で、世界で警察権ないしそれに近い権限を国際的に行使する権利が、アメリカ合衆国というただの普通の国に、あるがずがない。テロリズムへの対処について国際法をどう運用するかはまだ法的に未知の領域だが、アメリカの自衛戦争に「国際社会の一員として」参加するという理屈がデタラメにしかならないことだけは確かだ。

小沢の主張する国連中心主義という、少なくとも国際法的にはまったくまっとうな議論(まあ理念として筋が通っているからといって、現実的に役に立つかどうかは疑問だけど)に、ちなみにただの軍事ヲタで国際法どころか法治の基本すら理解していないらしい防衛大臣サマはまるで反論が出来ていないことも付け加えておこう。

中学生並みの軍事ヲタクでしかない防衛大臣石破サンは「中国とロシアが安全保障理事会で拒否権を持っている」というまったく無関係のことしか言えていない。それどころか「中国とロシアが拒否権を発動するから、国連は世界の安全を保障する機関として機能しない」というこのメチャクチャな主張、中国やロシアという隣国との外交関係をこの阿呆はどう考えているのか、まったく常識を疑う話でしかない。

いくら「メディアは中立を維持」と言ったって、このテのデタラメを電波に載せて活字にするのなら、せめてコメンテーターとか、キャスターの意見としてでも、「非常識でデタラメな見解だ」くらいははっきり言わなければ、メディアの責任も果たせないだろう。だってこれって、はっきり言って「政治的見解」以前の問題でしょ。

それとも、まさかとは思うが、“ナガタチョー”に染まった政治記者のみなさんは、この程度の誰でも詭弁と分かるような単純なことにも、気がつかないほど、“ナガタチョー”の先入観の対立図式でしかものごとが見えなくなっているんだろうか…? その上で、「自民対民主」の対立図式の上での「公平」で、自民党の意見も報道しなきゃ、ということでああいうアホ発言を垂れ流してるのだろうか?

これを言うのもなんだか悪いけど、政治記者の皆さんが本気で「小沢がやめる!」とパニックってた辞意表明会見の直後に、「辞めないんじゃないの?」と書いていたのは当ブログであります…。だって、普通に考えてアレ、本気にします?

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