最新作『無人地帯 No Man's Zone』(2012)
〜福島第一原発事故、失われゆく風景、そこに生きて来た人々〜
第62回ベルリン国際映画祭フォーラム部門正式出品作品

1/11/2008

またヘソを曲げた小沢一郎

小沢サンがまたキレた模様だ。給油新法の議決の本会議に出席せずに、大阪の知事選の応援に行ったらしい。しかし小沢サンがヘソを曲げる気持ちはよく分かる。

小沢の考えは、参院で民主党の対案も含めて継続審議にして、この法案を成立させないことだった。この考えはつい昨日の報道でさんざん叩かれていたが、今度は手のひらを返したように「議論もなく可決されて残念」って、なんだよそれ? 継続審議にすれば議論はできたわけで、一昨日の党首討論でも小沢はちゃんと議論はふっかけていたし、ただ福田総理が逃げまくって誤摩化しただけですよ。

社民党や共産党も地に落ちたものだ。この法案が絶対に通しては行けなかった法案であるのなら、通さないためには衆院で与党が2/3を占めている以上、再議決を防ぐためには参議院で採決しないで、延々と継続審議にすればよかったのだ。ちゃんとした議論が行われてそれが世論に反映されれば、そこで60日条項で衆院で再議決というわけには行かなくなる。それを与党の横暴を印象づけるために議決して、衆院で再議決させるなんて、政争の具そのものではないか。福島サンも志位サンも、あなたたちの平和主義ってこの程度のものなわけ?

で、現にこの法案は通す必要がないし、通さない方がいい法案だった。給油なんて再開する必要はまったくないどころか、アフガン情勢が今やカルザイ大統領自身がタリバンに対話を呼びかけるまで追いつめられ、パキスタンではブット暗殺でムシャラフ政権への不審が高まり、政情が極端に不安定になっているなかで、アメリカの言う「テロとの戦争」はほぼ完全に頓挫しているのだ。その上ブッシュは、パレスティナのアブ・マゼンと会談しても、イスラエルのオルメルトと会談しても、イスラエルの西岸への入植停止を要求どころか提案すらできないでいる。これでアラブ世界やイスラム圏はまったくブッシュを信用しなくなるのは目に見えているし、ブッシュは信頼回復の最後のチャンスをみすみす逃したわけだ。だいたいイスラム圏のごく一部の過激派の起こす「テロ」を防ぐのに、イスラム圏の圧倒的多数である戦争はきらい、暴力はいけない(ただし、だから「イスラエルはなんなんだ」という話には必ずなる)という穏健派を味方につけないで、どうするつもりなのか?

どうせアメリカの政界はすでに大統領選挙一色だし、誰が勝とうがブッシュの進めた「テロとの戦争」が今のままで継続されるわけがない。日本の給油自体、アメリカの政界では「だから?」という程度の関心しか持たれていないし、アメリカの新聞でもほとんど報道されてませんがな。

今日本が動く必要なんてないのだ。延々と継続審議をすれば、給油再開も阻止できて、拙速な対米追従で国益を損ねる必要もないし、最大の国益でもある憲法順守と平和主義のアピールにもなる。福田政権だって冷静に考えれば、「与党はやりたいんです」というアピールだけはできるので、再開するポーズだけでほとんど税金を使わないで済む。共産党や社民党はなぜ反対したの? そりゃ小沢がキレても当然ですがな。この程度の判断もできないで、野党連合による政権奪取って、政権担当能力がまるでないし興味もない、党利党略しか興味がないエセ左翼と批判されてもしょうがないですよ。

もっとも、社民党や共産党の議員は、本気で給油の是非とかテロとの戦争だとか、議論するだけの能力もないのかも知れませんね。自信がないから与党の横暴を分かり易くアピールする安易な戦略に出たのか、とも思えて来る。どっちにしろ、あまりに情けなさ過ぎる。

しかしこうやってすぐ怒ってヘソを曲げる小沢一郎、この意外と単純なところが僕はけっこう好きなのだが、やっぱりある種の天才タイプって、他人がみんな自分ほど頭がよくないという単純な現実をしばしば見逃しがちなんですよねぇ…。

0 件のコメント:

コメントを投稿