
英語だと「Film Junky Award」となるのが、なんだか気に入ってます(笑)。以前にペサロ映画祭で「未来の映画」最優秀賞というのをもらっていてこっちはなんだかカッコよかったですが、「junky」ってのもね(^^;。大麻騒ぎぐらいで俳優をやっている息子を「役者を辞めさせる」とまで言い出す俳優の父親がいるこの日本のご時勢で。中村俊太っていう役者さん、サスペンスもののドラマのゲストくらいでしか見たことないけど、悪くなかったんだけどなぁ…。かなりもったいない…。使いようによっては、父親のような人気スターにはならないだろうが、俳優としては父親よりもずっとよくなる可能性も持ってそうな気もするんだけど…。
だいたい大麻をやったからお客の前に出る資格がないなんて言うなら…
…このドキュメンタリー映画の主役たちも監督もどうする?
70年代とは時代が違うと言われればそうなのかも知れないけれど、それでもこの渾身の大傑作に至ってはコカインの過剰摂取で本気で死にかけたあとの、リハビリから生まれた映画だったんだが…。ドラッグに手を出すようなレベルなら、踏み越えちゃったからダメというのではなく、どう踏み越えたことをふまえて戻って来るかだと思うが。
そりゃやらないで済むならやらない方がいいものではあるけど、過ちや文字通り地獄を見たことも含めて、すべて背負い込むことからどう表現に生かしていくのかこそが問われるのが、表現者という稼業なわけであって、他人を怪我させたとかそういうことなら話は別だが、麻薬というのは自分を傷つけることだし、自己破壊の衝動みたいなことに敏感であるのは、表現者としてかなり避けられないことだろうに。



というわけでトップ写真は、たとえばこんな構図で撮れるよね、という見本のつもりで、フレーミングは1:1.85サイズのワイドスクリーン。ちょっと小さ過ぎるかも知れませんが、クリックすると大きくなりまして、そうすると右下に人物が映っているのが分かるはず。『ぼくらはもう帰れない』のとき以上に街並という風景のなかでどう人物を動かすのか、そのアーバンスケープを見せる映画にもしようとは考えています。そういう現代の大阪の街というものを、考えてみたら映画ではめったにみたことがないので。
…と思ったら、そういえば『ぼくらはもう帰れない』も、東京をこういうふうに生々しく撮った映画は珍しい、と言われたような気もするが、まあいいや。もう3年前に完成させた映画だし、撮影なんてあの郵政総選挙とかやってた頃(そこで当時わが地元の東京一区から出馬していた海江田万里氏の選挙演説なんてのも聞こえるわけです)だから、もう忘れた…。
ちなみに上の写真は、4月11日付けのブログでも終わりの方で取り上げた、大阪証券取引所のはす向かい、淀屋橋駅付近で発見した昭和初期モダニズム建築っぽいビル。



こういう建物がときどきなんの脈絡もなく…って一見ごちゃごちゃに見えながらそれなりに街並に脈絡があるのが東京だったり、多くの地方都市も東京の縮小コピー的な雰囲気があるのだが、大阪って街並の脈絡みたいなものをなんとかブチ壊そう、建物のひとつひとつが自己主張している感覚すらあって、脈絡もなく、ときには周囲から断絶するように存在している気がする。なにしろJR大阪駅/阪急・阪神などなどの梅田駅、つまり大阪の鉄道網の中心ターミナルの方を高速道路に向こうに臨んだら、なぜかビルのなかに観覧車が堂々とそびえ立っているのには驚いた。しかも真っ赤に塗られた観覧車(下の写真)!




『ぼくらはもう〜』の東京の場合は、広告が多かったりで色がそれなりに派手なのを除くと、高さであるとかはそれなりの範疇に収まっているところが多いので実はそんなに大変でなく、比較的オーソドックスに撮ってあとは色がうるさすぎるのを脱色したりしただけ(上の写真参照)できれいに行ったのだが、こういう大阪の風景となるとどう撮っていいのか、大阪にいるあいだじゅう外を歩けば考えていたようなわけである。いや難しいよね、と思いながら工夫を考えるのがけっこう楽しかったりもする。





藤田まことがこの手つきだと、串カツの串でブスッと盆の窪あたりをやられちゃいそうで、安心して食ったり飲んだり出来ないんじゃないかと…。

むしろこういうアーケード商店街(下の写真)の方が、大阪という街にとって象徴的に思える。いや東京にないから珍しい(まあ中野プロードウェイへのアーケード街くらいしか知らないんですよね)というのではなく、この歩道部分へ店舗と看板が徐々にせり出して行って来てる、この周囲と競う自己主張のずうずうしさ(失礼!)と、あくまで商店街の枠内で自己主張を競って商いの場として成立させていることの、微妙なバランス感覚が。商売が最優先される意思が、独特の合理性をもってこういう具体的な形を生み出している、とでもいうような…。

註)なおこの項目は翌日のエントリーに続きます。
お久しぶりです。
返信削除『ぼくらはもう帰れない』
ザ・ストーカーの山田です。
いつもブログ拝見してます。
今度の舞台は大阪ですか、いいですね。なかなか面白そうで。
自分は大阪に行ったことが全くないんで…一体どんな街なのか…。
微力ながら、お手伝いさせていただければと思います。
役者でなくとも、何かご協力できることがありましたら
ご連絡下されば、仕事が空く限りで馳せ参じますよ。
どうぞよろしく。
山田哲弥
tetsuya_yamada@mac.com