最新作『無人地帯 No Man's Zone』(2012)
〜福島第一原発事故、失われゆく風景、そこに生きて来た人々〜
第62回ベルリン国際映画祭フォーラム部門正式出品作品
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12/14/2009

さすがに腹が立って来た

9月の政権交代以来、マスコミの報道が次第におかしくなって来ている。最近となるともう、ある種の意向が働いての露骨な印象操作の偏向報道としか思えない。

まず「日米関係最大の懸案」ということに半ば捏造の偏向報道の連日連発で持ち上げられてしまった普天間問題。この騒ぎ自体がある意味マスコミ報道が作ったもの、それを報道させているのは日々リークに余念がない外務省と防衛省の官僚なのだろうという推測くらいはすぐ着くのだが、報道する側の態度がこれまたいくらなんでもひどすぎる。

アメリカと対立することはアメリカのご機嫌を損じることになるのでいけないから、日米合意通りに辺野古沖に基地を移転するよう鳩山政権が決断すべき、という主張だけでも、いったいどこの国のマスコミかと呆れてしまうわけだが、先日驚いたのは「鳩山政権は日米同盟と社民党との連立のどっちが大切なのか?」と“アメリカの高官”とやらが不快感を表明したという報道。

そもそも論として、アメリカ政府関係者がそんなことを言い出したらさすがに「露骨な内政干渉」「アメリカの単独覇権主義はオバマ政権になっても変わってない」という批判が噴出して当然だろうに、そんな論調はまるでなし。

それにしても冷戦が終わって20年、アメリカ以外の先進資本主義国では社会民主主義系の政権が出来るのもごく当たり前になった現代に、「社民党」つまりSocialismが党名に入ってる旧・社会党だからってアレルギー発揮してる“アメリカの高官”ってどこの馬鹿かよ、と呆れて聞いていたら、なんと出て来たのはアーミテージ国務省副長官と、グリーン大統領補佐官…?

…って、オバマ政権じゃなくて政権交代で失職してるブッシュ政権の高官じゃないか。せめて「高官」と言えよな。こりゃ悪質な虚偽報道に限りなく近いよ、こうなると。

さらに驚いたのが、その発言の場が見るからに日本で行われたシンポジウムだったのに、主催者が誰かもまるで報じられない。あからさまに日米安保関連の利権に関わってるような団体が開いた会なのだろうが、防衛省の次官がそういう利権にまつわる汚職で逮捕されたのも記憶に新しいというのに、いたいどういう報道だよ。だいたいアーミテージなんていわゆる「共和党系親日派」、俗にいう「日米安保で食ってる連中」の代表格なのは日米外交を報じるにあたっての常識だろうに。

ホワイトハウス報道官が、自らはあえてアメリカ側の立場を発言せず、記者からの質問でやっと「我々にも立場がありますよ。以前に決まった合意があるので、それが立場です」と単に事務的に応じたことも、英語で聞いてればことさら特筆すべき発言でないのに、字幕と解説であたかも重大発言のように歪められて報道される。

訊かれたから答えただけ、自分から言ったわけではないという単なる事実、さらにはオバマ政権にとって普天間問題なんて日米政権においてさして重要な問題とみなしてすらいない現実は、決して報道されない。COP15で米政権がその問題で日米首脳会談を希望されても困ると言ったのだって、地球温暖化対策にアメリカも参加させることが重要な政権課題なんだから、そこでそんな話を持ち出されるても困るというだけの話だ。

オバマ来日の少し前に、沖縄で米兵によるひき逃げ事件があった。大統領来日前に非常に微妙な立場の司令官がわざわざ謝罪と捜査への協力を表明に当該の市の市長を訪問したことすらちゃんと報道しないのは毎度おなじみの風景ながら、そんな態度だからオバマが日本に24時間弱だけ滞在して中国に行っちゃったとたんに、アメリカ側は捜査協力すら渋り出すのもある意味、当たり前である。日本国民の命が奪われてる事件なんだから、首脳会談でアメリカ側に詰め寄るよう求めるのは日本の論壇として当たり前のことだろうに。

いったいなんなんだよ、と思ったら、今度は中国副主席来日で天皇が会うことになったことについて、宮内庁長官の下らん発言、というか倒錯としか思えない越権発言を針小棒大にとりあげ、「一ヶ月前」とかいう誰も知らないルール…ですらない、宮内庁のごく最近できた内規に過ぎないことをめぐって大騒ぎするのがこれまたおかしい。

小沢が激怒したのは、悪いけど小沢サンが全面的に正しいです。そんな宮内庁の言い分を正しいかのように報道するのは、「統帥権の独立」をタテに出来た旧大日本帝国憲法の欠陥を、今度は成文法ですらない曖昧さで正当化するのに等しい暴論に過ぎない。こうなると「天皇は象徴」とだけで曖昧にあえてすませた日本国憲法がかえってヤバかったのかな、とすら思えて来る。

この一連の報道における言外の言は、小沢訪中団への批判も含めて、要するにアメリカとの関係を悪くして中国と仲良くやるのはけしからん、っていう奇妙な理屈なのだろう、典型的な霞ヶ関の発想として

当の政権内では防衛大臣が完全に防衛省の役人とそれを取り巻く利権グループに取り込まれ、岡田外務大臣も日米安保にからむ密約問題を調査させながら、それとこの問題をちゃんと連動させられないのだから情けない。

バカな宮内庁長官は「天皇陛下は中立でなければいけない」って、内規をいいわけにしてその実中国の要人だから天皇に会わせないって言うんじゃ、それこそ典型的な政治利用じゃないか。

そもそも天皇が外国要人に会う「皇室外交」自体が、天皇の政治利用に他ならない。だからこそ国際親善程度にその役割を限定すべきであり、国際親善なら隣国の要人に会うのがなにが悪いんだか。ただの表敬訪問にしかならんだろ、どうせ。断る方こそ日中関係を犠牲にして日本を米国の属国にしておきたい連中の政治的スタントじゃないか。

日本の国益を考えるなら、どちらも重要な外交パートナーであり、どちらの国にとっても日本との関係が重要なのだから、そのあいだで絶妙なバランスをとるのは当然の話。とくに鳩山政権は日米安保の見直し・再定義を重要な政策課題にしている以上、多少はアメリカを焦らせるのは当然やらなければいけないことだ。

オバマのアジア歴訪の際のアメリカの新聞報道でも見てみればいい。アメリカはアメリカで日本が中国との関係を密接にし、そこでアメリカが取り残されることを極度に警戒している論調が目白押しだった。だからこそアメリカが日本との良好の関係のために妥協するように導くのも、当然の外交戦略に決まってるだろうに。一方で中国は日本にとってもアメリカにとっても最大の貿易相手国なんだぜ? まったく利害というものが考えられないのかよ、日本の「政治」の専門家さんたちは。

アメリカ側が一応強気のポーズをとるのは、これまでの日米関係で自民党政権と霞ヶ関は常に外圧、というかアメリカの圧力に弱かったからなのと、外交交渉である以上最初は強気のポーズをとるのが常識だからに過ぎない。

また今回の場合は日米安保の見直し・再定義がその先にあるからこそ、強気にしないと足下を見られるネタ、つまり日米安保のなかで密約を日本に強制した過去や、辺野古沖への移転自体がアメリカの国内法にひっかかる可能性があるから。あとアメリカ側の一部勢力として、つまり例の日米安保で食ってる連中んとって、当然ながら安保の再定義をアメリカ有利にやりたいから。「おもいやり予算」ですら事業仕分けの対象になるのだから、その点ではアメリカ、というか「親日派」の利害は確かに脅かされているし、国防総省を中心にそういう勢力はまだ残ってるわけで、なにしろホストネーション・サポートがここまで手厚い同盟国/米軍駐留国は他にないんだし、自衛隊の装備でもアメリカ企業がボロもうけしている一方で、日本の先端技術の力が米軍の兵力維持にも重要な役割は果たしているわけで…というのが在日米軍を維持したいアメリカ側の最大の戦略的理由、「アメリカが日本を守ってくれる」って、いったいどこから守るの? ってのがアメリカ側の現実的な本音なんだが…。

そんな事情はマスコミだって「専門家」なんだし分かってるはず、それを相手の政治情勢を冷静に分析もせずに(できるはずなのに)、ただひたすらここまでびびっていて、いったいどうするだろう?

オバマ政権にしてみれば、アフガン問題や地球温暖化対策と、大統領本人の悲願である核軍縮での方が、よほど日本の協力を求めているのに、民主党政権だってもっとはっきりと「国際協調路線」を打ち出すべきなのだが、その辺りがかなり情けない。

鳩山さんもボンボンの強みで「そりゃ原案どおりなら誰も苦労する必要はないわけで」というわけで、これだけマスコミやらなにやらがわーわー騒ごうがどこ吹く風な態度を貫けるのはたいしたもんだが、自分の内閣をうまく制御できてないのはさすがに困る。

北沢防衛大臣がまったくのダメ大臣で、民主党次世代の期待の星だったはずの岡田さんも外務官僚相手に悪戦苦闘中だからって、肝心なのは彼らが鳩山さんの大臣なのだということ、外交である以上海外から見えるのは、日本で見るのと違って一人一人の大臣ではなく、あくまで鳩山政権、鳩山首相の判断に見えてしまうのだから。

オバマ政権もこの点についてはとくにイライラするし、それはある意味当たり前のことである。そんなところで弱みと取られることを見せてしまっては、外交はやってられない。

やっぱり小沢が首相になった方がよかったのかね。もっとも、だからこそ霞ヶ関官僚機構は、政権交代の前に小沢政権の芽だけは潰そうとしたわけなんだが。

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