最新作『無人地帯 No Man's Zone』(2012)
〜福島第一原発事故、失われゆく風景、そこに生きて来た人々〜
第62回ベルリン国際映画祭フォーラム部門正式出品作品

7/23/2008

お楽しみの時間 That's Entertainment

本阿弥光悦のセクシーな傑作
黒楽茶碗、銘『時雨』


学芸員のある種の「遊び」みたいな展覧会なんでしょう。東博がこういう「遊び」をやるのは文句がある人もいそうですが、難解高尚ぶった「日本美術」って、宗教画以外は元々は当時のエンタテインメントとして作られたものなんだし、美術館が遊んだっていいと思う。

     長次郎の超弩級名作
    黒楽茶碗、銘『俊寛』


いやあ遊びは遊びでも豪華な遊びです。この出品内容はただごとではありません。というわけで誕生日に、東京国立博物館で開催中の「対決! 巨匠たちの日本美術」に行ってきました。

ある種「邪道」と眉をしかめる真面目な人もいるでしょうが、たとえばこの長次郎と光悦それぞれの、茶器としてもっともシンプルでミニマルな「黒楽茶碗」をどう料理するかの違い、こうやって比較するとそれぞれの個性が際立つことは否定できませんし、「へえ、こんなに違うんだ」というのはやっぱりエンタテインメントです。つまり、楽しいじゃん。

「対決」のなかには雪舟VS雪村と言ういささか型通り、歌麿VS写楽なんて勝負になってないもの、あるいは永徳VS長谷川等伯みたいにいまひとつピンと来ないものもあって、このカードは東博の至宝・松林図屏風を持ち出すためのいいわけにも見えたが、光悦VS長次郎の楽茶碗対決は、大成功でしょうね。

尾形乾山・野々村仁清対決なんてのは日本の陶磁器技術の発展を見るのにも分かり易い例だろうし、なんといったって「対決」に興味がなくても、色絵吉野山図茶壺だとか、単品で見ていても楽しいんだから、いいじゃない。歌麿の最高傑作『婦人相学十體・浮気の相』についてはさらにそう言える。ちなみに勝負自体が成立していないとはいえ、写楽が隣にあると歌麿の方が遥かに美しく見えて魅力的になってしまうのは、写楽同様に奇想の画家である曽我蕭白なんかも損してますね。

東京国立博物館の至宝、長谷川等伯の松林図屏風は今週いっぱいの展示です。お見逃しなく。

0 件のコメント:

コメントを投稿