ガソリンの暫定税率が失効で廃止になったとたん、道路が作れない地方自治体が悲鳴をあげている、との報道が騒がしい。某局のお昼のワイドショーで芸能レポータのおじさんが「必要なら一般財源で作ればいいだけでしょう?」と正論を言ったとたんに、他のコメンテーターや司会者が無視したのだから大笑いである。それだってどっちかといえば反自民党系とされる新聞社の系列の局ですよ。値下げ圧力に困惑するガソリン・スタンド話がやたらと報じられるのも、なんなんだろう、と猜疑心をかきたてられてしまう。要するに報道の政治部はしょせん、政府官庁の発表と与党のリーク情報に頼り切ったニュースソースなので、与党の方針にとって不都合なところは、あまりに言論統制があからさまにはならない程度に、出ないようにしているわけで。
最悪、4月1日になったとたんに工事中の道路も作業をストップするとか、そういう判断をする自治体が、要するに国交省と与党道路族のご機嫌取りで、「道路特定財源と暫定税率維持」のための自爆パフォーマンスをやっているだけなのだ。そんなのに騙されている、というか恐らくはわかってのっかっている大手マスコミも困ったもんだ。
それにしても、日銀総裁人事でもめた辺りから、表面的には福田政権はなにを考えているのかさっぱり分からない。勘ぐれば一種の「自爆テロ」なのかも知れない。ガソリンの税率が下がったとたんに「道路が造れない!」(そんなわけ、本当は全然ないのだけれど)とのヒステリー報道が始まるのもそうだが、与党の考えが通らないとこの国は立ち行かないんですよ、とデモンストレーションするためにわざと混乱させているのかも知れない。というか、そうでも考えないと説明がつかない。
日銀総裁はようやく白川さん(副総裁/現総裁代行)の格上げで決着がつきそうだが、まずなんで蹴られるのが分かっている武藤さんの提案をあそこまでギリギリに遅らせたのか?それだけでも相当におかしいのに、民主党がすみやかに蹴ったので次の候補を、となったら武藤さんよりももっと不適格な田波さんを出す。こりゃもう「いったいなんなの?」としか思えなかったのだが、「ねじれ国会のせいでこんなに混乱するんです!」と訴えるためのパフォーマンスでしょう、と考えると納得はできる。
それに武藤さんご本人もかなり笑わせてくれた。国会審問で「日本の景気はとてもよくなった」と胸をはってのたまわり、銀行預金の利子がなくなってしまって悪評プンプンのゼロ金利政策でも、「当時の状況ではやむを得なかった」とでもいえばいいのに、「まったく正しかった」のだそうである。本当になにも考えないで言っていたのなら、自分の発言の影響力も考慮できないバカに日銀総裁という公職が勤まるわけがないし、分かって言ってるのならそんな人に「国民の生活が第一」がスローガンの民主党が賛成してくれるはずがない、特攻精神じゃあるまいし、それは国民新党でも社民党でも共産党でも同様,賛同するはずがない。その程度も言い含めずに国会に立たせるだけでも、武藤さんを提案したこと自体が、意図的に混乱させようとしてやったことに思えて来る。同時に提案されて蹴られたもう一人の副総裁候補だって、悪名高い「経済財政諮問会議」のネオコン論客、冷血冬季資本主義派で「インフレ・ターゲット論」って、経済伸長とは無関係にただ原材料費の価格(原油、穀物)の急騰で消費者物価が高騰してしまう危機的状況に、とりあえず不適任に決まってるでしょうに。
財政難が唯一の理由である「後期高齢者医療制度」でも、暫定税率撤廃で2兆6千万の税収減になるという話も、とかく「日本は財政難」を誇張すればなんでも通るといわんばかり。それを言われてしまうとつい我慢してしまう我々国民も人が良すぎる。自分たちの失政で財政赤字を膨らませておいて、メチャクチャですがな。じゃあこちらも極論でいわせて頂ければ、とりあえず官僚の人件費を一般企業(中小企業も含む)並に落とすだけでも、じゅうぶん財源は出来そうなものではありませんか。とりあえず彼らの脅しに屈しないためにも、このぐらいの極論で理論武装するのもいいだろう。
国交省の脅しをからめた暫定税率と特定財源維持の署名を拒否した自治体首長が口を揃えて、特定税源としてでなく地方交付税に一括して財源を渡されたらなにに使うか、と訊ねられて「まずやっぱり道路ですね」と答えていた。皮肉なことに拒否したのは道路整備の遅れている市町村ばかりだったらしいが、要するに特定財源だと国の基準のレベルが高過ぎて、余計に金がかかってしまい、特定財源として渡されると結局市の一派財源からの支出も増えるのが腹が立つ、ということらしい。要するに、そういうどうでもいい無駄金の支出を減らしましょうというのが小泉改革が支持を集めた理由だったはずなのだが、肝心なことはなんにも変わってなかったんですね。
なんだか政府と国民の根比べみたいな様相も呈して来ましたが…。
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